クリーンエネルギーとして注目されている太陽電池の研究を40年続けています。


薄膜シリコン系太陽電池グループは以下の3チームから構成されています。
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  太陽電池の本格的普及へ向けてその高性能化と低コスト化の両立が望まれております。特に低コスト化という観点から、薄膜シリコン系太陽電池が注目されています。

  これまであったシリコン系薄膜太陽電池はアモルファスシリコンの単接合のものでした。ガラス上にCVD法を用いて、数百ナノメートルの厚さで作製できることから、低コスト化を実現できました。しかしながら、アモルファスシリコンには光劣化という問題がありました。また、単接合であるため光を利用できる波長範囲がそれほど広くありませんでした。

  そこで、登場したのがタンデム型太陽電池です。光吸収波長が異なる二種類の半導体(アモルファスシリコン、微結晶シリコン)を積層した構造のタンデム型太陽電池では、太陽光スペクトルを有効に利用することができるため太陽電池の高性能化が実現可能です。また、微結晶シリコンは光劣化しないため、セル全体としてアモルファスシリコンの光劣化効果を低減することが可能となります。我々の研究グループではより高速に製膜が可能であるVHFプラズマCVD装置を用いてこれらの薄膜を作製し、タンデム型太陽電池の性能向上に関する技術開発を行っています。また、さらに広い波長範囲を利用するため、3接合薄膜太陽電池のトップセルとしてアモルファスSiCやSiOといった材料開発も行っています。

  2008年度より新しくNEDOの革新的太陽光発電技術開発プロジェクトが始まりました。本研究室では、上記に書いたような多接合薄膜太陽電池に低倍率で集光することで、変換効率の向上を目指そうというものです。

3接合シリコン系薄膜太陽電池の作製と高効率化

薄膜図1.png
  本研究室では、図1のような3接合シリコン系薄膜太陽電池を目指して研究開発を行っています。このような太陽電池構造を作製するには図の吹き出しにあるような諸技術を確立する必要があります。

  トップセルにはバンドギャップの大きなアモルファスSiCやアモルファスSiO薄膜を用いることで、短い波長の光を有効に利用することができます。このようなワイドギャップな吸収層を用いる場合には、その上のドーピング層はさらにワイドなバンドギャップを有する必要があります。これに対応するのがp型微結晶SiCです。

  ミドルセルには通常アモルファスSiGeを用いますが、アモルファスSiGeは高価で毒性の強いGeH4を必要とします。そこで、アモルファスSiの製膜条件を見直すことで、ナローギャップなアモルファスSiの開発を行っています。また、CdTeやCIGSといった化合物半導体とのコラボレーション技術の開発にも着手しています。

  ボトムセルには、微結晶シリコンを用います。微結晶シリコンはアモルファスシリコンに比べて吸収係数が小さいので、光を十分に吸収するのに必要な膜厚が厚くなります。従って、スループットよく微結晶シリコン膜を堆積するには堆積速度が速い方法を用いる必要があります。堆積速度の速い高品質な膜の開発を行っています。

LinkIconバンドギャップとは?

薄膜シリコン系太陽電池の集光特性

  集光とは、レンズを用いて太陽光を太陽電池上に集光し、変換効率を向上させるという技術です。集光することで、通常短絡電流は入射光強度に比例して増加しますが、その際に開放電圧も増加します。これにより、変換効率が増加するわけです。

  集光特性はGaAs系の化合物半導体太陽電池にて盛んに研究されてきました。現在、集光したGaAs系の化合物半導体太陽電池にて40.8%という変換効率が達成されています。薄膜シリコン系太陽電池にてこのようなことがなされていなかったのは、薄膜シリコン系太陽電池の変換効率がそれほど大きいものではなく、集光したとしてもそれに見合うパフォーマンスを得られなかったためであると考えられます。しかしながら、前述したような3接合シリコン系薄膜太陽電池の開発が進んでいけば、変換効率も20%を超えてくる可能性があり、これにより集光するメリットが生まれるものと考えられます。そこで、これまで未知な領域である、薄膜シリコン系太陽電池の集光特性に関して研究していくことにしています。