クリーンエネルギーとして注目されている太陽電池の研究を40年続けています。

CIGS薄膜太陽電池GPは以下の4テーマに取り組んでおります。
テーマをクリックすると今年のAnnual Reportがご覧になれます。


  Cu(In1-xGax)Se2系太陽電池(CIGS太陽電池)は薄膜太陽電池の中では最も変換効率が高く、長期信頼性も実証されていることから、次世代太陽電池として有力視されています。CIGSはCuInSe2とCuGaSe2との混晶であり、多結晶Si太陽電池に匹敵する変換効率18%以上が複数の研究機関で報告されています。また、CIGSは未知の部分が多く残されている材料であり、今後の研究に数多くの期待が集まっています。本研究室では、このCIGS薄膜の基礎物性の解明及びCIGS薄膜太陽電池の高効率化を目的として研究をおこなっています。

①高いGa組成比を有するCIGS薄膜太陽電池の高効率化

  現在、光吸収層に用いられているCIGS薄膜は、Ga組成比が約30%(禁制帯幅に換算すると約1.15eV)です。理論的に最も高い変換効率が得られるのは、太陽光スペクトルとの整合性により1.4eVとなります。しかしながら、Ga添加量を増やし禁制帯幅を拡大しても変換効率の向上には直結しません。この原因としては様々な要因が考えられていますが、原因の一つに高いGa組成比を持つCIGS薄膜の膜質の低下が挙げられます。本研究では製膜時においてGaにエネルギーを与えることによるCIGS薄膜の高品質化を目指しています。

② クラッキングSeを用いたCIGS薄膜の作製

  高品質なCIGS薄膜を得るために通常用いられる製膜技術では、多元蒸着法の一種である三段階法が最もよく知られています。しかし通常の蒸着法ではSeは高分子のまま基板に飛来するため、他の元素との反応性は低くなり、膜質の低下につながります。そこで本研究では、高分子Seを高温のヒーターによりクラッキングしてSeの反応性を高め、高品質なCIGS薄膜を作製する研究をおこなっています。

③ 界面層の改善による高効率化

  CIGS薄膜太陽電池の場合、p型であるCIGS上に界面層としてCdSを製膜し、高い効率の薄膜太陽電池が得られています。しかし、Cdは毒性が強く、またCdSの禁制帯幅2.4eVであり、波長に直すと520nm以下の波長を持つ太陽光が吸収されてしまい、変換効率の低下を招いていることが知られています。そこで本研究では、禁制帯幅の広く、Cdを用いない界面層について研究をおこなっています。

④CIGS/AIGSを用いた積層太陽電池の開発

  CIGS薄膜太陽電池は、単接合で変換効率が19.9%が達成されております。さらなる変換効率向上のためには、バンドギャップの異なる材料を積層化することで単接合では利用できていない波長範囲の光を利用する必要があります。CIGSよりワイドギャップな材料としてAg(InGa)Se2があります。AgGaSe2で1.8eVとなり、Inの量を増やすことでバンドギャップを低い方へ制御することが可能です。AIGSをトップセル、CIGSをボトムセルとして積層太陽電池を作ることで、さらなる高効率化を目指します。